痛風/高尿酸血症(つうふう/こうにょうさんけっしょう)

痛風/高尿酸血症

人間の体は多くの細胞からできていますが、すべての細胞に遺伝子が入っています。

この遺伝子をつくっているのが核酸という物質です。

この核酸が分解されると尿酸が作られます。

尿酸は身体にとって不必要なため、腎臓から尿の中に排出されるのが普通です。

ところが、この排泄量が少なくなったり、または尿酸が多量に生成されて排泄が間に合わなくなると、血液中の尿酸量が増えてしまいます。

これが高尿酸血症です。

尿酸は通常、血液100ml中に約6.5mgまでは溶けますが、これ以上になると血液中に溶けずに尿酸塩の結晶となります。

そして血液100ml中に7mgの尿酸があれば、高尿酸血症と診断されます。

さらに、血液中で尿酸の量が増加した状態が続くと、主に足の関節や腎臓などに尿酸塩が付着します。

このように高尿酸血症が進み、尿酸塩が沈着したものが痛風です。

尿酸塩は針状の結晶なので、痛覚神経を刺激して、突然キリで刺されたような激しい痛みをおぼえます。

高尿酸血症患者の約10%が痛風を発症するといわれますが、厚生省の全国統計によれば、痛風患者は約13万人。実際は推定40~50万人の患者がいるといわれています。

さらに高尿酸血症の患者にいたっては、160万人ともいわれています。

痛風患者のうち90%以上は男性、それも40~50代の男性に多くみられる病気で、女性の患者数はごくわずかです。

血液の尿酸値をコントロールせずに放っておくと、やがて痛風結節と呼ばれる尿酸塩を中核にした肉芽組織が生まれたり、腎不全や動脈硬化疾病を引き起こすこともあります。

原因

健康な人の場合、毎日700mgの尿酸が肝臓でつくられます。

そのうち500mgが尿の中に排泄され、残りの200mgが汗や便の中に排泄されています。

高尿酸血症は、尿酸の排泄量が少なくなったり、過剰につくられて排泄が追いつかなくなることで起こります。

尿の中へ排出される尿酸の量が少なくなる原因として、まずあげられるのが薬の副作用です。

高血圧の治療などに使われる利尿剤は、高尿酸血症を起こすことで有名です。

また太っている人ほど、血中の尿酸値が高い傾向にあることから、肥満が排泄力低下の原因となるともいわれています。

一方、尿酸が過剰につくられる原因に、食べ物があります。尿酸は肝臓でつくられますが、その原料はプリン体と呼ばれるものです。

これは細胞の核に含まれる物質で動物性や植物性の食品に含まれています。

食品中に含まれるプリン体の量は差がありますが、多く含まれている食べ物は高プリン食と呼ばれています。

ステーキやエビなどがこれにあたりますが、過剰に摂取すると肝臓に尿酸の原料が送りこまれます。こうして肝臓は尿酸を多くつくってしまいます。

また、溶血性貧血など、健康な人よりも多くの赤血球、白血球が壊れる病気が原因で、尿酸の量が増えることがあります。

白血球、赤血球にも尿酸は含まれ、それらが多く壊れれば壊れるほど、血液中に放出される尿酸の量も増えるからです。

このほか、激しい運動を繰り返すことでキサンチンという尿酸の原料となる物質が筋肉から排出され、血中の尿酸が増えることもあります。

大量のアルコールを摂取すると、血中の尿酸値が著しく高くなるため、アルコールをふだんから大量に飲む人は、痛風にかかりやすいことになります。

症状/検査・診断

高尿酸血症の段階では、症状がない場合も少なくありません。

ところが、尿酸塩が関節にたまり、さらにアルコール、ストレスなどが引き金となると痛風発作(急性痛風性関節炎)と呼ばれる急性の炎症が起こります。

足の親指のつけ根の関節に突然激痛が走り、指が赤くなって腫れ上がるというのがこの発作の典型的な症状です。

この症状は24時間以内にピークに達し、1~2週間で自然におさまります。

耳の軟骨や手足の関節にも起こりますが、約70%が足の親指の関節に現れます。

このような発作が起こっても、その後発作が起こらない時期が続きます。

約40%は、2回目の発作が1年以上もたってから起こっています。

とはいえ、病気が重くなると複数の関節に尿酸塩が付着するようになり、絶えず痛みが続くようになってしまいます。

この状態を、慢性痛風性関節炎と呼びます。

また、病気が進行すると、尿酸塩の結晶が手足の関節や耳の軟骨などに付着して、外からもしこりとして触れる痛風結節という症状を引き起こします。

この腫れは、手で触れると痛みを感じる場合と感じない場合がありますが、しこりができる前段階で発症を防げるため、現在では痛風結節はほとんど起こらなくなっています。

痛風関節炎の発作、痛風結節などの症状、血中尿酸値などを調べれば、診断は容易です。

痛風と似た症状の、外反母趾、慢性関節リウマチ、変形性骨関節炎などと区別するには、関節液を採取して、そこに痛風の特徴である尿酸ナトリウムの針状結晶がないか検査します。

また、尿酸値が高い状態が長く続くと、尿路結石や痛風腎などの合併症を引き起こすことも少なくありません。

なかでも、尿路結石は痛風患者の20~30%にみられます。また、痛風腎になると腎臓に尿酸がたまって機能が低下します。

そのため、これらの合併症がないか、腎機能検査、尿路結石の検査、脂質、糖、肥満度、さらに心電図、心エコー図など循環器系の検査が行われることがあります。

治療

痛風の治療は、痛みを和らげるだけでなく、尿酸値を7mg/dl以下に保ち、発作の再発や合併症の予防につとめることが目的となります。

尿酸値が8mg/dl以上の場合は、薬物療法を中心に、食事、嗜好品など生活面での改善も不可欠となります。

治療薬として使われるものには、痛風発作に対する治療薬と、尿酸値をコントロールする薬の2種類があります。

痛風発作に有効なのは、コルヒチンです。

発作の起こる部分がちくちく痛む、熱を持っている、腫れぼったいなど、発作の予感がするときに服用して、発作の予防をします。

ただし、この薬は副作用も強いので、長期間の服用は行われません。

万一、発作が起こってしまったときは、非ステロイド系の抗炎症薬をできるだけ早く服用します。

痛みのある部分に冷湿布をしたり、この部分を高く持ち上げることは、痛みを和らげる効果がありますが、マッサージなどはしないようにします。

発作の再発を防ぐためにも、患部の安静が必要です。

尿酸値を下げるには、プロベネシドなどの尿酸排泄促進薬や、アロプリノールという尿酸合成阻害薬が用いられます。

ただし、いったん起こった発作は血中の尿酸値を下げても好転はせず、むしろ再発作を誘発して症状を悪化させます。

そのため痛風の発作がおさまるまでは、尿酸値をコントロールするための薬は服用してはいけません。

腎障害の予防のために尿のアルカリ化剤の内服もおこなわれます。

痛風患者が原則として食べてはいけない食品はありませんが、プリン体を多く含む食品の摂りすぎは禁物で、肥満にならないような食事を心がけます。

塩分やアルコール、特にビールは控えめにします。また、水分が足りなくなると尿酸の濃度を上げることになるので、水分を十分にとるようにします。

経過・予後/生活上の注意点

痛風の発作が起こると、激しい痛みに襲われますが、発作そのものは命にかかわるものではありません。

しかし、初めのうちは2~3年に一度くらいの割合で起こる発作も、症状が進むにつれて発生する間隔が短くなり、痛む関節の数も増えていきます。

そして、腎機能が徐々に低下したり、高血圧や肥満、糖尿病などの合併症も起こりやすくなります。

ですから、発作がないからといって、薬の服用を途中でやめてはいけません。

日本人では遺伝が原因で痛風になることはきわめて珍しく、したがって日常生活をコントロールできるかどうかが予後を大きく左右します。

まず注意したいのは食事です。痛風は肥満の人に多くみられる病気です。

食べ過ぎを避け、太っている人は減量を心がけましょう。

また、アルコールは発作を引き起こす原因となります。

長い間酒を飲み続けている人や、短時間で集中して大量の酒を飲む人は要注意です。

ビールはとくによくありません。

また、痛風はグルメ病ともいわれるように、美食家に多くみられる病気です。

とくにステーキ、エビ、レバー、シラコ、大豆など、尿酸の原料となってしまうプリン体を多く含む食べ物のとりすぎには注意します。

参考として痛風によい食品をあげます。水分の補給も重要です。体内の水分が不足すると、血液が濃くなって尿酸値が上がるからです。

また、尿も濃縮され、合併症の尿路結石が起こりやすくなります。

もう1つ、痛風の発作を引き起こすものにストレスがあります。

過度の緊張やイライラが続くとストレスがたまり、これが血中の尿酸値を高めることが分かっています。

ストレスを上手に解消し、ゆったりとした生活を送るように心がけましょう。